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日本の平均賃金は本当に横ばいか?



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日本の賃金が30年間も横ばいが続いている。最近、そんな批判を見かけるおうになった。以下の朝日新聞の記事を見れば横ばいに見える。



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経済協力開発機構(OECD)の2020年の調査(物価水準を考慮した「購買力平価」ベース)によると、1ドル=110円とした場合の日本の平均賃金は424万円。35カ国中22位で、1位の米国(763万円)と339万円も差がある。1990年と比べると、日本が18万円しか増えていない間に、米国は247万円もていた。この間、韓国は1.9倍に急上昇。日本は15年に抜かれ、いまは38万円差だ。日本が足踏みしている間に、世界との差はどんどん開いていた。
【出典】2021年10月20日 朝日新聞デジタル 「韓国に抜かれた日本の平均賃金 上がらぬ理由は生産性かそれとも…」


この平均年収が400万円というのは、単純平均の数字です。諸外国で平均年収と言えば中央値のことです。


単純平均は、年収の合計を人数で割った数字です。この数字は少数の高い年収の人が平均年収を引き上げてしまうという問題点があります。例えば、10人のグループがいたとして、8人が年収300万円で2人が年収800万円だったとする。単純平均では年収440万円になります。年収300万円の人が8割なのに平均年収440万円と言われても実態を反映していません。

中央値は、年収を高い順に並べた時に、中央に位置する人の年収です。先の例では年収300万円です。諸外国では、こちらの数字を採用するのが一般的です。ちなみに、最頻値という数字もあります。これはもっとも多く頻出する数字で、先の例では年収300万円になります。


では、日本の年収はどうなっているのでしょうか?


2020年の民間給与実態統計調査(国税庁)によると、単純平均で年収433万円でした。男性が532万円で女性293万円、正規労働者が496万円で非正規労働者が176万円です。これは、あくまでも単純平均です。


個人レベルでの年収(中央値)の推移を見てみます。
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【出典】日本と世界の統計データ 日本人の平均年収と中央値の長期推移


中央値で日本人の年収を見た場合、日本人の年収は減少している。横ばいと言えるような状況ではない。


〈参考〉

日本全体の年収中央値は370万円!?平均年収との違いやボーナス中央値なども解説

https://career-picks.com/average-salary/nenshu-chuochi/



統計によって差はあるけれど、日本の年収は単純平均で400万円台の前半、中央値で300万円台の後半です。このブログでは、単純平均で425万円(プラスマイナス25万円)、中央値で375万円(プラスマイナス25万円)とあつかいます。


よく、「小泉・竹中路線によって貧困層が増加した」との批判を聞くことがあります。貧困には絶対的貧困と平均的貧困があります。相対的貧困の定義は、「所得の下位20%以下」とか「中央値での平均的所得の半分以下」とされています。先進国で生活保護の対象になるのは、「中央値での平均的所得の半分以下」の所得です。各国で差異はあるけれど、だいたい、この程度の水準の所得の人です。


日本の相対的貧困を確認してみます。中央値での平均年収が375万円程度。この半分の年収だから年収187.5万円以下の年収となります。月収にして15万6250円以下です。貧困層と言われても、まぁ、そうでしょうね。妥当な水準です。


日本の非正規労働者の平均年収はいくらか。国税庁の民間給与実態統計調査(2020年)によると、非正規労働者の平均給与は176万円となっている。非正規労働者を「負け組」と呼ぶ人がいるが、非正規労働者とは低賃金の貧困層であることは数字を見る限り間違いない。


貧困層である非正規労働者の人口はどうなっているのか?


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小泉政権が、2001年(平成13年)4月26日から2006年(平成18年)9月26日であり、この政権が「雇用形態の多様化」や「労働者ビッグバン」と公言して非正規労働の増加をあおった。小泉・竹中路線で貧困層である低賃金労働が激増したことは事実です。あの政権は貧困層の激増を正当化した。


賃金の他に、もう1つ下がったものがある。退職金です。


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【出典】2019年11月29日の All About "退職金はピークだった20年前と比べて1083万円も減っている?"


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本当に日本の平均年収は横ばいか?



先に示した図をよく見て欲しい。


202205181658115d1.png【出典】前掲。



非正規問題すなわち貧困問題は若年層だけではない。45歳以上の中高年も非正規比率が上昇している。これ45歳以上がリストラ(半強制的な希望退職)の対象者であり、55歳から60歳で役職定年や定年後再雇用などで非正規労働者に転落していく。おそらく、年金は70歳から75歳までもらえない。



第二次ベビーブーム(1971年から1974年)の団塊ジュニアと呼ばれる世代が、2021年で45歳から50歳。この世代が非正規労働の貧困層に転落してくる。この世代は人口が多いから平均賃金を大きく下げる。



厚生労働省のように賃金統計を意図的に改竄(かいざん)しない限りは、そうなる。



平均年収が下がれば、消費金額は減り貯蓄金額も減る。現役世代の中心は1975年生まれ以降になるが、この年代は少子化世代で人口が比較的少ない。少ない人口で高齢者福祉や増加した非正規への貧困対策を負担する。当初所得が減っているのに、税引き後の可処分所得はさらに減る。可処分所得の推移(月収)のグラフを引用する。


20220518174930d7d.png【出典】https://www.transtructure.com/hrdata/20210727/



本当に、日本の平均年収は横ばいなのか。再検証してみる必要があるようです。






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