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ロシアの航空会社への制裁は本当に正しいのか?



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2022年2月24日に始まったロシアによるロシア侵攻。この影響で、ロシアの航空業界が揺れている。

世界の航空機リース大手がロシア事業からの撤退を急いでいる。アイルランドに拠点を置く世界最大手のエアキャップが撤退方針を固めたほか、ロシア向けの航空機リースで海外勢2位のSMBCアビエーションキャピタルもロシアの航空会社との契約を解除する見通しだ。欧州連合(EU)が対ロ制裁として3月末までに契約を打ち切るよう要請したのに伴う措置。ロシア民間航空機の半数の500機の運航が困難になる見通し
【出典】2022年3月7日の日本経済新聞電子版「航空機リース、相次ぎロシア撤退 民間半数が運航困難に」


民間企業の経営に、EU(欧州連合)が要請という形で介入してくるのも問題のある話。軍用機のリースをしているわけでもない。


欧米や日本の航空機リース大手は、ロシアとの航空機リース契約を解除して返還を要求している。世界的なコロナの流行で航空機を利用する人が減少している状況で、返還された飛行機をどう運用する気なのか。疑問には思うけれど、政治的判断なのでしょう。


ロシアの航空会社の対応は予想がつく。


ウクライナ侵攻への欧米諸国の制裁の下で求められる航空機の返却に抵抗しており、欧州のエアバスや米ボーイング製の数百機がリース会社に戻らない恐れがある。
  バルキリーBTOアビエーションの法務顧問ディーン・ガーバー氏によれば、手だてがほぼ尽きる中で、ロシアの航空各社にリースされた500機余りのうち、外国のリース会社が回収に成功したのはわずか二十数機にすぎない。航空業界専門の分析会社Ishkaによると、未回収の航空機の市場価格は合計約103億ドル(約1兆2000億円)に上る。
  欧州連合(EU)の制裁の下で、日本のSMBCアビエーションキャピタルを含むリース各社の回収期限は、厳密には28日までに設定されているが、アエロフロート・ロシア航空などロシアの航空会社はリース航空機の大部分をオーナーの手が届かない国内に既に集結させているという。
【出典】2022年3月9日のBloomberg「永遠に戻らない恐れ、ロシアのリース航空機1.2兆円-ABS市場動揺も」



このような事態に、ロシア政府が何もしないわけがない。ロシア政府の対応は以下のようなものです。


ロシアのプーチン大統領は、ロシアの航空会社が外国企業からリース契約に基づいて借り受けている航空機について返還する必要性を否定する法案に署名しました。
 新たな法律は、ロシアの航空会社が外国企業から借り受けている航空機について、ロシアの航空会社の資産として認めると定めています。
 実質的にロシア国内におよそ700機あるとされる外国企業から借り受けた航空機について、返還の必要性がないと認定した形です。
 法律制定の理由について、ロシア大統領府は「民間航空の円滑な運行を図るため」だと説明しています。
 ロシアの航空会社を巡っては、借り受けている航空機が外国の空港で差し押さえられることなどを懸念して、今月8日からほぼすべての国際線の運航を停止しています。
【出典】2022年3月14日のテレビ朝日系ニュース「ロシア 外国からリースの航空機 返還不要の新法」


ロシア政府も私有財産権を否定している。ただし、すでに欧米諸国はロシアの在外資産を凍結しているので、飛行機を含む欧米の在ロシア資産を凍結し接収することはできる。


ロシアの一部の航空会社は、政治的な理由による理不尽な欧州連合(EU)た欧米リース会社の要求に従う方針です。

 ロシアのウクライナ侵攻による経済制裁に関連して、ロシアの航空会社は、リース機の返却を拒否している状況が続いていますが、S7航空・ノードウィンド航空などの一部の航空会社は、返却の意向を示していることがわかりました。
 ロシア政府は、制裁に対抗するためにリース機を事実上ロシアの所有物とすることできる法律を制定しましたが、このような状況下でも全ての航空会社が盗みをはたらくわけではないようです。
 これは大手リース会社のエアリースコーポレーションのJohn Plueger CEOが明らかにしたもので、一部の民営エアラインは制裁後を見越してリース機の返却が必要であることを認識して協力的であるとし、同社の契約状況からすると、S7航空やノードウィンド航空の事を指しているとみられ、時期は不明なものの返却する意思はあるとみられます。
 一方で国営のアエロフロートロシア航空、傘下のロシア航空、ポベーダ航空などは政府の意向に沿っているとみられており、プーチン政権の影響が色濃く及んでいる模様です。
 これまでの情報をまとめると、アエロフロートロシア航空も含めた多くのロシア航空会社は、今回のロシア側の対抗措置には必ずしも賛成でないとみられ、これは今後事業の継続が難しくなることが大きな要因とみられます。少なくとも民間エアラインとの間では水面下でリース会社と交渉が行われている模様で、ロシア航空業界としては現在の状況が危機的であるとの認識はあるものとみられます。
 この戦争においては、ロシアという国に責任があるのは最もですが、プーチン大統領の暴走という面も強いことから、ロシアの航空業界からすると被害者的な面もあり、ロシア国内の世論は一枚岩とはいかないとみられています。
【出典】2022年3月19日のsky-budget「S7航空、ノードウィンド航空などの一部エアラインはリース機を返却の意向」


つまり、プーチン政権よりの航空会社は飛行機を返還せず、欧米の契約社会を尊重するまともな航空会社は飛行機を返還して打撃を受ける。正直者が馬鹿を見る結果に終わる可能性がある。


ロシア政府は、リースされている航空機を返還する意思はない。


ロシアのサベリエフ運輸相は22日、同国の航空事業者に貸し出した航空機が戻らなければ多額の損失を被る外国のリース会社との関係円滑化に向け、ロシア側が事実上接収した形のジェット旅客機のオーナーに補償を申し出た。
  サベリエフ運輸相は、外国企業に航空機の回収を求める対ロ制裁への違反を法的に回避する手段をロシア当局が探っていると明らかにした。金銭の支払いやジェット旅客機の買い上げが選択肢に含まれるという。
  同運輸相によれば、これまでのところリース各社はこの件で交渉に応じようとしておらず、ロシアの航空事業者とのいかなる金銭契約も明らかな制裁違反になると考えられることが恐らくその理由だ。
 「希望を失っていないが、返還するつもりはない。航空機がない状態に置かれるからだ」と運輸相は語った。
  ロシア軍のウクライナ侵攻に対する欧米の経済制裁に従い、リース各社はロシアの航空事業者に貸し出した欧州のエアバスや米ボーイング製の航空機500機余りの返還を求めている。
  世界最大の航空機リース会社エアキャップ・ホールディングス(本社ダブリン)は、所有する150機余りがロシアから戻っていない。
  欧州連合(EU)は28日までにリース契約解除を求めているが、ロシア側が航空機を国内から出さないようにしているため、回収の手だてがないのが実情だ。


要するに、航空機のリース契約を継続するか。もしくは航空機の売却を要求する内容となっている。しかも
リース料金は米ドルで支払われるとは限らない。


ここまでは政治問題です。たとえロシアがリースされた航空機を返還しないとして、もっと重要な問題がある。



ロシアのウクライナ侵攻と西側の制裁措置を受け、米航空機大手ボーイングは1日、ロシアの航空会社への部品・メンテナンス・技術サポートを停止したと発表した。
【出典】2022年3月2日のロイター「ロシア航空業界が孤立、ボーイングが部品・保守サポート停止」


3月2日にはエアバスが、ロシアの航空会社への部品・メンテナンス・技術サポートを停止すると発表した。エンブラエルも同様の発表をしている。



旅客機が補風部品の不足が原因で整備不足の状態で運行されると、旅客機の墜落事故が起きる。プーチン政権のウクライナ侵攻に反対だから、ロシア国内の航空機を利用する普通の一般市民を墜落事故で無差別に殺しても良いことにはならない。実際の墜落事故が起きてから、大問題になる。これでは航空機製造メーカーによる乗客の虐殺事件と同じ。



ロシア政府は短期的には混乱するでしょう。中長期的には根本的な対策を取って来る。ロシア製の国産旅客機の開発です。現在はロシアでほとんど旅客機は生産されていない。暫定的な処置として旧ソ連時代に開発されていた旅客機の製造再開もあり得るし、新型の旅客機を開発して来る。


ロシアの航空会社の立場で考えてみる。補風部品が安定的な入手できず、運行停止や墜落事故を起こす可能性のあるボーイングやエアバスの旅客機。補風部品が安定的に供給されて、運行や整備に支障がない国産旅客機。どちらを購入するのか。言うまでもなく、ロシア製の国産旅客機を買う。
今はロシア政府が苦境に立っている。中国は台湾問題やウイグル問題でロシアと同様の立場に立たされるリスクがある。中国政府も旅客機の国産化もしくはロシア製航空機の購入を推奨して来る可能性がある。ボーイングやエアバスのように、政治的な理由で乗客の安全性を平気で犠牲にするような会社から旅客機は買わない。


ソ連崩壊後、壊滅状態にあったロイアの旅客機製造。これに復活の口実を与えてしまった。旅客機製造の再開がロシアのGDPにプラスなのかマイナスなのかも考えることができない人が行った短絡的な政策。どこの国だって、民間航空機を利用する乗客の安全性の確保は重要な政策です。民間航空機の墜落事故をあおるような政策には問題がある。



ロシアによるウクライナ侵攻に賛否はある。国際的にロシアへの批判が集中いている。だからと言って、何をやっても良いと言うことにはならない。リースされている旅客機の返還要求ぐらいならともかく、民間旅客機の墜落をあおるような政策は行き過ぎがあるというほかない。




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