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ジョブ型雇用は、今以上の学歴社会。



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「欧米はジョブ型雇用で、日本企業はメンバーシップ型雇用だった。最近、ジョブ型雇用に移行する日本企業が増えた」。こんな解説を聞いたことがあるでしょう。まず、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の解説を引用します。

ジョブ型とは、職務内容を明確に定義して人を採用し、仕事の成果で評価し、勤務地やポスト、報酬があらかじめ決まっている雇用形態のこととされます。一方、日本企業はこのジョブ型に対し、新卒一括採用、年功序列、終身雇用で、勤務地やポストは会社が人事権の裁量で決められる雇用形態を取っており、人事の専門家はこれを「メンバーシップ型」と称してきました。
【出典】2021年4月13日の日経ビジネス「欧米には日本人の知らない2つの世界がある」


まるで、「欧米のジョブ型雇用を日本に導入しようとしている。黒船来襲だ!」みたいな解説です。文学の世界では、この方が読者の共感が得られるでしょう。しかし、現実は違う。


欧米はジョブ型雇用で、日本は、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の両方があった。


ジョブ型雇用は、「職務内容を明確に定義して人を採用する」のが特徴。こんな職種は日本にたくさんある。
たとえば、大手ドラッグストア。ドラッグストアに店長がいて、薬剤師がいて、普通の店員がいる。薬剤師として大手ドラッグストアに雇用された人は、薬剤師以外の仕事はしない。これがジョブ型雇用と呼ばれる専門職です。
日本型のメンバーシップ雇用なんてのは、ドラッグストアの店長や普通の店員に適用されるレベルでしかない。マスコミ報道とは異なり、日本でもジョブ型雇用は普通に行われている。


病院も同じ。医師として雇用された人は、医師としての仕事しかしない。看護師として採用された人は、看護師の仕事しかしない。栄養士として採用された人は、栄養士としての仕事しかしない。医療事務として採用された人は、医療事務の仕事しかしない。完全なジョブ型雇用で、それぞれの職種で高度な専門知識を要求される。

学校も同じ。教師として採用された人は、教員の仕事しかしない。他の業種も同じ。自動車整備士として採用された人は、自動車整備の仕事しかしない。航空会社にパイロットとして雇用された人は、パイロットの仕事しかしない。客室乗務員は、フライトアテンダントの仕事しかしない。飛行機の整備士は、飛行機の整備の仕事しかしない。


こんな仕事は、いっぱいある。ジョブ型雇用なんて、日本で広く行われている。珍しいことでも何でもない。


これらのジョブ型雇用の特徴は、高い専門性を求められる専門職だということ。医師や薬剤師をするには、大学と大学院で6年間は学ばなければならない。看護師や自動車整備士にも国家資格が必要です。一般的に高い専門知識が要求される職業ほど、賃金水準は高くなる。逆に、同じジョブ型雇用でも、タクシードライバーのような運転免許とカーナビがあれば誰でもできるような職種は、賃金水準が安くなる傾向がある


ジョブ型雇用は、ドラッグストアの薬剤師のような高い専門能力を要求される専門職に有利です。高い専門知識は、大卒や大学院卒の高学歴な人が身につけている。医師、弁護士、会計士、薬剤師、教師などの職業はジョブ型雇用です。これらの職業は高学歴を要求される。


ジョブ型雇用は、高学歴の人が高賃金の職業を独占するシステムでもある。低学歴でもできるようなジョブ型雇用は、完全歩合制の営業職を除いて、賃金水準は総じて低い。タクシーの運転手や調理師は専門職でも低賃金です。


では、普通の労働者はどうなるのか。大手ドラッグストアの例に戻ってみる。ドラッグストアの店舗には、店長、薬剤師、普通の店員がいる。このうち高賃金なのは、店長と薬剤師です。薬剤師は高い専門知識が要求されるので、高学歴の人が独占します。

店長は誰でもなれるけれど、社員の8割、いかなる下級の管理職にもなれない。管理職は10人に1人しか必要ない。つまり、9割の人は管理職ではない。定年退職などによる世代交代を考慮しても、8割の人はいかなる管理職にもなれない。名目だけの「名ばかり管理職」が生き残れる時代でもない。

普通の店員は、どうなっているのか。こちらは正社員と非正規労働者にわかれている。非正規労働者は、永久に時給1000円の低賃金です。正社員も55歳をすぎた頃から役職定年や定年後再雇用などで時給1500円(年収300万円)に転落して行く。年金は70歳か75歳まではもらえないでしょう。


ジョブ型雇用で恩恵を受けるのは、高い専門知識を持った高学歴の人です。中途半端な学歴でメンバーシップ型雇用で働いてきた人には、あまり恩恵はない。中途半端な学歴とは、大学の法学部は卒業したけれど、弁護士資格も司法書士の資格も持ってないような人のことです。そういう中途半端な学歴の人は日本の多数派です。


ドラッグストアの例で、高賃金な薬剤師や店長になれるのは少数派です。大多数の人は普通の店員(正社員または非正規労働者)でしかない。少数派に入る努力をするか、起業や副業をするしか選択肢は残っていないでしょう。厳しい時代です。






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