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日米地位協定の改定を要求する以前に



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立憲民主党の泉健太代表が日米地位協定を改正することを要求している。民主党政権時代に、日米地位協定の改正を要求しなかったことからわかるように、どこまで本気かはわからない。政治的パフォーマンスである可能性も否定はできない。


立憲民主党・泉健太代表(発言録)
 (新型コロナウイルスの感染が沖縄、山口両県の米軍基地周辺で広がっていることについて)根本的には日米地位協定に大きな問題がある。
 例えばドイツ、イタリア、ベルギーは基本的にその国の国内法を原則適用する。日本の場合は、日本の国内法を適用するのではなく、治外法権になっているからアメリカは日本のルールに従わなくてよいと(なる)。入国についても(PCR)検査なしで来てしまう。基地の中には日本人の方もたくさん働いていますが、その皆さんの前でマスクをしない。基地の外に出てもなおマスクをせずに行動する。それは(感染が)広がりますよね。
 こういう地位協定の見直しを岸田政権は早々に「やらない」と言ってしまったのも大きな問題で、本当に主権国としての自覚があるのか。
【出典】2022年1月16日 朝日新聞デジタル  「日米地位協定改定は「健康、命の問題」 立憲・泉代表」


確かに、日米地位協定は治外法権になっている。自民党政権に日米地位協定を改定しようとする意思はないし、旧民主党政権も改定しようとはしなかった。明治時代の日本政府が治外法権の改正に努力したのとは大きな違いがある。


では、日本の司法制度が国際的に通用するレベルかと言うと、残念ながらそうではない。日本人であれ外国人であれ、容疑者が警察に逮捕されたとする。逮捕された容疑者は警察の取り調べに弁護士を同席させることができない。


日本人は当たり前と思っているかもしれないが、これは世界の非常識です。警察に逮捕されても、公正な裁判で有罪判決が確定するまでは推定無罪です。すべての人に公正な裁判を受ける権利がある。推定無罪の人物が、弁護士をつける権利があるのは当然です。しかるに、日本の警察や刑事司法制度はこれを認めない。


推定無罪の原則は、基本的人権として認められている。今から200年以上前のフランス人権宣言(1789年)
に明記されている。自由主義国家において認められている人権です。
《フランス人権宣言 第9条》 あらゆる人は有罪を宣言されるまでは無罪と推定されるから、その者を逮捕することが不可欠であると判断されても、その身柄を確保するために必要ではないあらゆる厳しい処置は法律によって厳重に抑圧されなければならない。


当然、アメリカでも認められている。アメリカの警官は容疑者を逮捕するとミランダ警告を読む。これを読まないと、容疑者の発言は裁判で証拠として採用されない。「あなたには黙秘権がある。あなたの証言は裁判で不利に扱われることがある。あなたには弁護士を同席させる権利があり、弁護士を雇うお金がない場合には公選弁護士をつけることができる。以上のことを理解できたか?」。アメリカの刑事ドラマでおなじみのセリフです。


容疑者の取り調べに弁護士を同席させる権利があるのはアメリカだけではない。ドイツ、イタリア、ベルギーも同様です。裁判で有罪判決を受ける前は推定無罪だから、推定無罪の人物が警察の取り調べに弁護士を同席させるのは当然の権利です。これを否定することは、推定無罪の原則を否定することであり人権侵害にあたると認識される。日本以外のすべての西側先進国で弁護士の同席を認めている。


アメリカ国民の人権が保証されない国に、アメリカ政府は自国民を引き渡したりはしない。すべての西側諸国で同様です。


代用監獄の問題もある。容疑者が逮捕されると、警察の留置所に数日間だけ身柄を拘束される。その後、留置所に移送される。逮捕された容疑者は、公正な裁判で有罪が確定するまでは「推定無罪」です。不当に拘留することはできないので、裁判所で保釈を審理される。日本では、こうなっていない。


建て前では、逮捕された数日後に拘置所に移送されることになっている。しかし、監獄法1条3項の「警察官署ニ附属スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得」を根拠に、警察の留置所での拘束を継続する制度です。こんなものは、諸外国での非常識。アメリカにこんなものは存在しないし、ヨーロッパ諸国にも存在しない。裁判で有罪判決をける前の容疑者には推定無罪が人権として保障されるからです。日本でも、この制度は自白の強要につながっているとして批判が多い。


こうやって、推定無罪の容疑者を警察が長期間に渡って不当に拘留する。その間に、日本以外にはアフリカのガボンにしかない記者クラブ制度で、警察が一方的な「推定有罪」の記者会見を行う。記者クラブ加盟の新聞社とテレビ局が「推定有罪」で報道する。警察側の勝手な言い分です。裁判は、検察側(警察側)と弁護側の双方の主張を平等に聞きながら裁判が進行する。警察側(検察側)のみの推定有罪一方的な主張だけで裁判をしたらどうなるか。考えれば想像がつく。警察発表や日本のマスコミ報道は、その程度のレベルで、国際社会で通用するレベルではない。実際、たいていの冤罪事件でマスコミは加害者側にいるし、警察発表をそのまま伝えただけだといて報道責任(民事責任)すら取らない。外国メディアから日本の記者クラブ制度は嘲笑されているのが実態です。


こんな状態で、米兵の引き渡しなんて要求するだけ無駄です。推定有罪で報道しまくって、取り調べに弁護士も同席させず、代用監獄などで長期間の拘留をし、国際的に通用しないような拘留期間です。自国民の人権を保護できない国に、自国民を引き渡したりしない。日本の司法制度は国際的に通用するようなレベルではない。


自民党政権が悪い。それも事実だけれど、旧民主党政権(立憲民主党)が与党時代に日本の司法制度改革をしたなんて聞いたことがない。日米地位協定の改定に努力した事実もない。自民党政権を批判する資格なんてない。


政治的パフォーマンスで、日米地位協定を批判するのはやめた方が良い。批判する前に、自国の司法制度を国際的に通用するレベルまで引き上げる必要があるでしょう。

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