まず、日本国債を誰が所有しているのか確認しておく。日本国債の約半分は日本銀行が保有している。2018年3月末で45%です。現在では日銀の国債の保有はもっと多くなっている。
【出典】2018年12月03日 東洋経済オンライン 〔著者:櫨 浩一 学習院大学 特別客員教授〕「
デフレ脱却実現なら物価と金利はどうなるか」より引用
日本国債の買い手なんて、もういない。日本銀行が紙幣を印刷して国債お買う。年金資金や郵貯マネーのように法律で強制的に国債を保有させられているケースもある。そういう資金で日本国債の約7割が保有されている。
日本の金融機関が日本国債を買い増すなんてことはない。理由は日本国債の格付けです。
ムーディーズの日本国債の格付けは「A1」、S&pの日本国債の格付けは「A+」です。先進国とは言えないレベルです。
欧米の年金資金などはダブルA以上の優良債権での資金運用を義務付けられていることが多く、日本国債は資金運用の対象とはなりません。日本の金融機関が日本国債で資金を運用していると、金融の世界では資金を優良でない投資先で運用しているとみなされます。
日本の銀行が保有していた大量の日本国債は、黒田総裁の時代に日銀が買い取った。日本の金融機関が日本国債を買い増すことは、まず、ありません。
かつて、「日本国債を大量に発行すれば、国債の買い手がいなくなる」と言われていた。今や、そういう状態です。日本国債の買い手はいなくなった。日本銀行が紙幣を印刷して日本国債を購入しているのが今の実態です。
著者は、増税をあおっているわけではない。現状を説明しているだけです。
最近は、現代貨幣理論(MMT)という経済学でも異端派の理論が与野党の政治家の間で広まっている。
現代貨幣理論(MMT)とは、「自国通貨を発行する権限のある政府は、中央銀行が財政赤字分の国債を買い続けることによって、国民負担なく財政出動が可能だ」という理論
【出典】2021年12月20日 wedge infinity 〔著者 森信茂樹 東京財団政策研究所 研究主幹〕
現代貨幣理論(MMT)が経済理論として正しいか間違っているかの議論は、横に置いて置く。現代貨幣理論(MMT)に賛成か反対かに関係なく、実質的に日銀に国債を引き受けさせる形での財政支出は増えて行くと予想される。
著者は増税をあおるつもりはないが、このことの経済的な影響について考えておくべき時期に来ている。