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「分配」だけで所得倍増ができるのか?



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「自由民主党、立憲民主党、日本維新の会」が主張する「成長と分配」に関する主張を確認してみる。

 自民党の岸田文雄首相は、2021年10月4日に行われた就任初の記者会見で「分配なくして次の成長はない。成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていく」と述べていた。それを「成長なくして分配はない。まず成長をしっかり考えていく」と2021年10月10日のフジテレビの番組で述べて軌道修正した。そして、10月11日に「成長なくして分配なし、まず成長を目指すのが重要。その上で分配なくして、次の成長はない」と発言している。


 立憲民主党の枝野幸男代表は、2021年9月27日に「分配なくして成長なし! みんなを幸せにする経済政策」と題した次期衆議院選挙の公約を発表している。立憲民主党は労働組合の支援を受けているので、このような政治的スローガンでも不思議ではない。 


 日本維新の会の副代表を務める大阪府の吉村洋文知事は、2021年10月9日の街頭演説で「お給料も国民の可処分所得も少なくなってきている。分配を強化しようというのは大賛成。」「分配するのは、じゃあ、どこから持ってくるんですか。ここが重要なんです。成長しなければ分配する元手はありません。経済を成長させるためには改革が必要なんです。」と述べた。 


 今後、どのように、各党の主張が変化して行くかわからない。少なくとも、現状ではこうなっている。各党とも「分配」を重視することでは共通している。



 筆者の個人的な見解は各党とは異なっている。近代経済学での三面等価の原則は「生産(成長)・分配・支出」である。各党の発言には三面等価の原則の中で「支出」が抜けている。この点を指摘しておきたい。「生産がなければ分配はなく、分配がなければ支出はなく、支出がなければ生産はない」。これが近代経済学の一般的な解釈である。


 三面等価の原則 


 政治家はスローガンとして、生産でなく成長という言葉を使っている。経済成長率は年率のGDPの成長率で、GDPは国内総生産のことである。だから、「生産の成長」という意味で理解することができる。ここで大きな問題が発生して来る。 


 「成長」という言葉は、今の生産がどうなっているかを表現する言葉ではない。1年後や3年後と言った将来の生産のことである。日本の今は、先進国最低レベルの労働生産性で、1人あたりのGDP(国内総生産)は、韓国や台湾と言った中進国なみの経済力である。日本の一人あたりGDPが先進国なみだったのは、小泉改革より以前の1990年代の昔話である。現在は、韓国や台湾なみのGDPしか日本は創り出していない。韓国や台湾なみのGDPを強制的に再分配した所で、韓国や台湾なみの給料にしかならない。 


 「経済が成長し生産量が増える」という前提で"分配"を声高に主張している。実際には「生産の成長」は政府発表のGDP統計の中だけの空想である。例えば、日本の自動車生産は1990年代を大きく下回ったままである。実現することのなかった生産の成長に期待を持たす政治家のテクニックにはある意味で感心する。生産の指標である1人あたりGDPは韓国や台湾なみなのを国民に忘れさせている。もはや、日本の労働生産性は韓国を下回っている。


 日本は先進国最低レベルの労働生産性という表現は不適切である。中進国の韓国や台湾と同じ労働生産性でしかないと表現した方が適切であろう。これが問題の根本である。労働生産性は、労働者1人が1年間に儲けたお金の額のことである。従って、儲けたお金に連動して年収が決まってくる。労働生産性がアメリカの3分の2というレベルなので、アメリカの3分の2という賃金になる。これは韓国や台湾のような中進国の賃金水準である。


 こういう状況での賃上げ要求は、労働生産性が低い中国やインドの労働者が、日本やアメリカなみの高賃金を払えと要求しているのと同じ言動である。賃上げ要求の気持ちはわかる。でも、労働生産性が低い以上は、どうしようもない。


 岸田文雄総理は、令和版所得倍増計画を提唱した。日本の年収はアメリカの6割だから所得倍増はスローガンとしては正しい。しかし、岸田総理は令和版所得倍増を実現する手段について言及していない。それを実現する方法が、安倍晋三政権のような官製春闘と最低賃金の引き上げでは問題は解決しない。なぜなら、安倍晋三政権の時に日本は韓国や台湾なみに転落したのである。先進国であるアメリカと同じ年収に復帰することは日本国民の願いである。岸田文雄政権には、日本を先進国の水準に復帰させてもらいたいものだ。



※2021年10月11日にマガブロで公開した記事を、再投稿しました。


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