6月19日、参院選選挙の公示を3日後に控え、『日曜討論』(NHK)では各党の政策責任者が議論を交わし合った。なかでも、“終身雇用をやめるべきか” というテーマが、話題を呼んでいる。
番組では、企業にとってビジネスをしやすい環境が整っているかどうかを基準にした、2022年の「世界競争力ランキング」を紹介。63の国・地域のなかで、日本は34位と過去最低の位置にあった。
そのうえで、日本の競争力を高める課題の一つが雇用だとし、終身雇用の見直しについて、各党党首に挙手制で賛否を求めた。「終身雇用を見直すべき」を選んだのは、自民党・日本維新の会・国民民主党・NHK党、「終身雇用を続けるべき」を選んだのは、公明党・立憲民主党・共産党・れいわ新選組・社民党だ。
日本企業の平均寿命は30年と言われていた。「20歳前後で就職して、30年後の50歳ぐらいまでは会社が存続している計算」にはなる。昭和の時代は55歳で定年退職だから、理論上は終身雇用とも言えなくはない。
この理論上の終身雇用も定年退職が60歳や65歳に延長され、今後は70歳から75歳に延長されるとなれば完全に崩壊する。企業の平均寿命が40年から55年は必要になる。
日本企業の平均寿命が30年とする主張の根拠は以下のようなものです。
1983年に『日経ビジネス』が発表した「会社の寿命30年説」です。明治29年(1896年)以後、約10年ごとに日本のトップ企業100社の総資産額、さらに売上高を加えて分析した結果、この9期間に連続してランク入りした企業はわずか王子製紙だけで、この期間に413社が100社入りしたとのこと。ということは、1社平均で約2.5回ランキングに登場したことを指し、2.5回×10年は25年で、企業の最盛期は30年もたない、という結果を示しました。
東京商工リサーチと帝国データバンクによると、2021年3月時点のホームページで前社は23.3年、後社は37.5年と発表しています。
国税庁によれば、2019年の平均勤続年数は、男性が13.9年、女性が10.3年、全体で12.4年となっています。
終身雇用なんてのは、昭和の時代にも一部の大企業において男性の正社員に限定して行われていた制度です。中小企業に勤務する男性社員に終身雇用なんてなかったし、大企業や中小企業を問わず女性に終身雇用はなかった。
これが令和の時代になって、一部の大企業すら終身雇用を維持できなくなってきた。理由は、昭和の時代の定年退職55歳ではなくなったからです。今でも45歳ぐらいまでなら雇用は安定してますよ。
日本には、年功序列賃金というものがあります。年功序列賃金とは定期昇給のことです。本人の実力に関係なく給料が定期昇給で上昇していく制度です。勤続年数が長い中高年社員ほど給与水準が高くなります。
【出典】勤続年数別 平均年収 (年収ラボ)
https://nensyu-labo.com/heikin_kinzoku.htm
勤続年数が男性が約15年ということは年収550万円前後、女性が約10年で年収300万円前後となります。実際に、2019年の民間給与実態統計調査(国税庁)によると、平均給与は男性540万円、女性296万円となっている。
日本では45歳以上でリストラ(半強制的な希望退職)の対象になる場合が多い。大学を出て22歳で就職して、勤続23年でリストラ対象ということです。その時の年収は、いくらでしょう。勤続20年から24年で年収は600万円を超えます。45歳以上の平均年収が600万円以上です。つまり、年収600万円というのが1つの基準になります。
【出典】WEB金融新聞 "年齢別・男女別の平均年収"
http://www.777money.com/torivia/m/torivia4_3_2.htm
年金の支給開始年齢が現在は65歳です。今後は少子高齢化の影響で、75歳になる可能性が高い。45歳以上はリストラなどで雇用が不安定となり、55歳以降は役職定年や定年後再雇用などで年収は減少する。
年金支給開始年齢までの20年間をどうするんだ?という問題です。大企業ですら、リストラ(半強制的な希望退職)などで雇用が不安定なんです。今も昔も、終身雇用なんてありえない。昭和の時代に、一部の大企業に男性正社員のみを対象に存在しただけなのです。