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成長の果実ってどこ? 平均賃金が韓国なみになった背景



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「2020年の平均給与433万円は、リーマンショック前の水準であり、さらにさかのぼると、バブル景気が終わる、90年代初頭と同じ水準です。」とYahoo!ニュースに書かれていた。


《元記事はこちら》

会社員の「平均給与」2年連続減…4割が「年収300万円以下」の衝撃 (幻冬舎ゴールドオンライン)


2020年の国税庁『民間給与実態統計調査』に基づいて書かれた記事です。この記事を読んで思った。ちょっと待てよ。

あまりにも、給料をもらう立場の労働組合的な発想で書かれていた。90年代初頭と同じ賃金水準だと批判しているが、日本企業の売上も90年代がピークの業界が多い。売上が増えてないのに給料が増えるわけがない。調べてみた。

○自動車販売

新車販売台数は、1990年の777万7665台(軽自動車を含む)がピークで、2020年度の465万6632台まで減少した。30年前の6割の水準でしかない。1980年代の貿易摩擦の影響もあり輸出は増えていない。

実際、国内の自動車生産台数は1990年の1350万台がピークである。2020年の自動車生産台数は771万4,847台で、ピーク時の57%の水準であり、国内での新車販売台数と同じような状況にある。

国内で自動車を製造せず、国内で自動車を販売できず、海外への自動車輸出も減少している。雇用が増えるわけもないし、賃上げなんて非現実的な実績である。

○マンション販売

不動産経済研究所によると、新築マンション供給戸数は、全国主要都市で発売された民間マンションは1994年の18万8,343戸をピークに、2020年には5万9,907戸にまで減少している。ピーク時の32%の水準です。

景気が悪いとか、少子高齢化の影響だとか色々な言い訳ができる。でも、マンション関連の市場で1990年代より雇用が増えていない。売上が減少しているのに、賃金を上げるというのも無理がある。この事実は変わらない。

○百貨店・スーパー

小売業界は、ネット通販の台頭で売上が激変している業界です。それでも、百貨店売上を見ていれば高所得層の消費動向はわかるし、スーパー売上高を見ていれば中低所得層の消費動向はわかる。

百貨店売上は、1991年の9兆7130億円をピークに、2020年度は4兆996億円にまで減少した。ピーク時の52%の金額しかない。全国スーパー売上高は1997年の16兆8,635億円をピークに、11兆3835億円に減少し、1997年の6割の水準しかない。

これらの数字が自動車業界の数字と類似していることがわかる。売上が減少しているのだから、雇用の増加はない。少なくとも、百貨店やスーパーで働く人の賃金を引き上げられる状況にはない。

これまで見てきたように、日本の国内市場は見るも無残な状態である。ほとんどの業界で同じ傾向にある。

人件費の総額は、「売上✕粗利益率✕労働分配率」で決まる。これを投入した労働量で割ったものが一人あたりの人件費である。この段階で賃金の総額はほぼ決まる。

日本企業が欧米企業と比べて低いのは「一人あたりの売上高」である。売上を稼いでない労働者に高賃金は払えない。売上は、1990年代の水準を大きく下回っている。

岸田文雄氏は自民党総裁選挙で「小泉改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。」と公言した。役人が発表する経済統計では、小泉改革で戦後最長の景気回復であり、アベノミクスで戦後最長の景気回復とされている。個別の経済指標を確認してみると、戦後最長の景気回復なんて、どこにも存在しない。

2000年から2020年の20年間で、1990年代の日本にも追いついていない。成長の果実があるとすれば、役人が発表した経済統計のフィクションの中だけである。1990年代に先進国であった日本は、2000年以降の経済政策で先進国から韓国や台湾なみの中進国に転落した。

賃金はアメリカの6割の水準であり、韓国や台湾と同等の賃金水準です。自動車販売やマンション販売、百貨店やスーパーの小売統計の数字を思い出す必要がある。日本が先進国であった1990年代の売上高と比べて、現在の売上高は6割減少している。先進国であるアメリカの6割の賃金水準と言われても不思議ではない。2000年から2020年までの経済政策に関与してきた竹中平蔵さんの経済失政のツケは大きい。もはや日本は先進国ではない。

岸田文雄氏は、「成長と分配の好循環、これを実現し、全国津々浦々、この成長の果実をしっかり届けていきたい」と述べた。成長の果実なんて、どこにもない。役人は大本営発表のGDP統計で戦後最長の景気回復を宣伝している。日本企業の国内での売上高が激減して、売上の成長なんてあるのか? 国内の売上高が増加するのを好景気と言うのであって、国内の売上激減することを好景気とは呼ばない。成長の果実もないのに、ありもしない成長の果実を分配するなどという空虚な主張は謹(つつし)んでもらいたい。


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